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EPSの圧縮強度(耐荷重)について詳しく教えて?

EPS(発泡ポリスチレン)の圧縮強度(耐荷重)は、密度や発泡倍率に密接に関係しています。
また、圧縮強度はEPSが圧縮された際の変形抵抗を示し、具体的には断面積1平方メートルあたりの

最大耐荷重を表します(通常はkPaまたはN/mm²で表記)。
以下にEPSの圧縮強度について詳しく説明します。

 

1. 圧縮強度の定義
 圧縮強度:材料が破壊または永久変形する直前まで耐える圧縮応力。
 一般的には「5%の圧縮変形が発生したときの応力値」で測定されます。

 

2. EPSの密度と圧縮強度の関係
EPSの圧縮強度は密度に強く依存します。密度が高いほど、圧縮強度も高くなります。

発泡倍率   密度(g/cm³)   圧縮強度(kPa)   主な用途
 20倍     0.05       約400~800     高強度緩衝材、構造部材、耐荷重が必要な包装材、等
 30倍     0.033       約220~260     建材材料(壁・屋根断熱材)、緩衝材、土木用途
 50倍     0.02       約110~150     梱包包装材(食品容器等)、断熱材、展示ディスプレイ、等
 60倍    0.017     約70〜120      緩衝材(軽量用途) 軽量充填材

 

3. 圧縮強度試験の概要
EPSの圧縮強度は、以下のような試験によって評価されます。

1)試験方法
 ・試験片を用意(一般的には50×50×50 mmの立方体)。
 ・圧縮機を用いて、一定速度で荷重をかける。

2)試験規格
 ・JIS A 9511(建築用断熱材の規格)
 ・JIS Z 0234:発泡プラスチックの試験方法

 

4. 圧縮強度が重要な用途
EPSの圧縮強度は、以下のような用途で重要な特性とされています。

1)建築分野
 ・基礎断熱材:建物基礎の断熱・荷重支持に使用。
 ・屋上断熱材:上に重い構造物や土を載せる場合に耐荷重性能が求められる。
 ・道路舗装下地:舗装荷重を支える用途。
2)包装材
 ・家電や精密機器の保護材として、圧縮による形状変化が最小限であることが求められる。
3)土木分野
 ・軽量盛土材:土木工事で地盤沈下防止のために使用。
 ・埋戻し材:軽量で圧縮強度が高く、土圧に耐える設計。

 

5. 圧縮強度を調整する方法
1)密度調整
 高密度EPSを選ぶことで強度を向上。
2)積層構造の採用
 EPSを複数層で使用し、全体の耐荷重性能を向上。
3)複合材料化
 他の硬質材料(繊維やフィルム)と組み合わせる。
4)表面処理
 表面に硬化コーティングを施して耐荷重性を向上。

 

6. 長期間の使用での圧縮強度
EPSは長期間にわたって荷重を受ける場合、徐々にクリープ(時間依存変形)が発生します。
ただし、高密度のEPSはクリープ耐性が高いため、建築や土木用途で安定した性能を発揮します。