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EPSの耐薬品性について詳しく教えて?

EPS(発泡ポリスチレン)の耐薬品性は、EPSを構成するポリスチレン樹脂の化学特性によって決まります。
EPSは多くの化学物質に対して安定していますが、一部の溶剤や化学物質には弱い点もあります。
用途や環境条件に応じて適切に使用するためには、その耐薬品性を理解することが重要です。
以下に、EPSの耐薬品性について詳しく解説します。

 

1. EPSの耐薬品性の基本特性
EPSは主に酸やアルカリに対して耐性がありますが、有機溶剤や油脂には弱い性質があります。
耐薬品性は以下の要因に依存します:
・接触時間:短時間の接触なら影響が少ない場合があります。
・濃度:高濃度の化学物質は劣化を引き起こす可能性が高いです。
・温度:高温環境では耐薬品性が低下します。

 

2. 耐薬品性の詳細
以下にEPSがさまざまな化学物質に対して示す一般的な耐性をまとめます。
1)耐酸性:耐性あり
 希塩酸、希硫酸、酢酸などの弱酸や希薄な強酸には耐性があります。
 高濃度の酸や長時間の接触では劣化する可能性があります。
2)耐アルカリ性:耐性あり
 苛性ソーダ(NaOH)やアンモニア水などのアルカリ溶液には比較的耐性があります。
 高濃度のアルカリ溶液や加熱条件下では分解が進む場合があります。
3)耐有機溶剤性:耐性なし
 ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチル、エタノールなどの有機溶剤には非常に弱いです。
 これらの溶剤と接触すると発泡構造が崩れ、形状が変形したり溶解したりします。
4)耐油性:耐性が低い
 植物油や鉱物油、グリースなどの油脂には弱く、接触によって発泡構造が劣化する場合があります。
5)耐水性:耐性あり
 EPSは疎水性であり、水や湿気には耐性があります。ただし、長期間水に浸ると吸水性が高まり、

 断熱性能が低下することがあります。
6)耐酸化剤・漂白剤:部分的に耐性あり
 過酸化水素(H₂O₂)などの酸化剤に対しては短時間なら耐えられますが、高濃度で長時間接触すると劣化します。
7)耐塩類溶液:耐性あり
 塩化ナトリウム(NaCl)や硫酸マグネシウム(MgSO₄)などの中性の塩類溶液には耐性があります。

 

3. EPSが劣化する場合の兆候
1)形状の変化
 有機溶剤と接触すると、溶けて収縮または溶解します。
2)発泡構造の破壊
 発泡ガスが抜け、強度や断熱性能が著しく低下します。
3)表面の軟化またはベタつき
 油脂や溶剤に接触すると表面が溶けてベタつくことがあります。

 

4. 耐薬品性を高める方法
1)コーティング処理
 EPS表面に耐薬品性の高いコーティング剤(例:ポリエチレン、ポリプロピレン)を塗布することで、

 耐薬品性を向上できます。
2)複合材料化
 他の耐薬品性素材と組み合わせて、耐薬品性が求められる環境で使用可能にする。
3)設計上の工夫
 薬品との直接接触を避けるため、薬品を防ぐバリア層を設ける。

 

5. EPSの耐薬品性を考慮した用途例
1)梱包材
 一般的な酸・アルカリには強いため、化学薬品を取り扱う製品の包装材として使用可能。

 ただし、溶剤や油性物質を含む場合には不適。
2)断熱材
 建築分野や冷蔵庫内装で使用されるが、溶剤や高濃度の化学物質に直接触れる場所には適さない。
3)土木材料
 塩水やアルカリ環境の地中で使用可能。ただし、油類や有機溶剤が存在する土壌では適さない。

 

6. EPSと他素材の耐薬品性の比較
材料      耐酸性   耐アルカリ性   耐有機溶剤性   耐油性
EPS       強い     強い        弱い        弱い
XPS       強い    強い       弱い        弱い
ポリウレタン  中程度   中程度       弱い        強い
ポリエチレン  強い    強い       中程度       強い

 

7. 注意点
・EPSは有機溶剤や油脂、強酸・強アルカリに弱い性質があるため、これらの環境下で使用する場合は

 代替素材や保護処理を検討してください。
・特定の薬品に対する耐性を確認する場合は、サンプルテストを行うことを推奨します。

 

EPSの耐薬品性を超えた性能が求められる場合には、別の素材(XPS、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)を

検討するのが適切です。